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見てみないフリをする人々。日本崩壊を示す兆候はすでに噴出している【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第76回

兵庫県知事選で公職選挙法違反の疑いをかけられている斎藤元彦

 

■百の兆候

 

 今、目の前で何が発生しているのか。

 兵庫知事選の斎藤元彦問題、東京都知事選の石丸伸二問題、大阪の維新問題も、根の部分ではつながっている。直接民意が反映される場所が狙い撃ちにされている。

    *

 兆候はすでに見えていた。統一教会問題、裏金問題、機密費流用問題、政治家と反社のつながり、新型コロナの対応、政商による中抜き、ネトウヨ・ビジウヨの跋扈、オリンピック利権、ポスター塗りつぶし、下半身露出、盗作、主権放棄、地位協定の維持、全方位売国、手かざし、マルチ商法、部落差別、イスラムを冒涜、マネーロンダリング、ストーカー事件、サクラの動員、児童買春、組織的なプロパガンダ(Dappi事件)、黒瀬深事件、都構想という中の大阪市解体、沖縄切り捨て、アイヌ差別、核共有、リコール詐欺、いじめ、パワハラ、セクハラ、松本人志問題、人権侵害、言論統制、対立候補を再選させるための出馬……。ちょっと目についただけでも、腐敗は極限に達しているように見える。

    *

 プロイセン王国出身の哲学者・古典文献学者のフリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェは言う。

《私の物語るのは、次の二世紀の歴史である。私は、来たるべきものを、もはや別様には来たりえないものを、すなわちニヒリズムの到来を書きしるす。この歴史はいまではすでに物語られうる。なぜなら、必然性自身がここでははたらきだしているからである。この未来はすでに百の兆候のうちにあらわれており、この運命はいたるところでおのれを告示している》(『権力への意志』)

    *

 この時評を始めて、来年で5年目に入るが、続けてきた理由は「大多数向け」ではない小さな話題(ニュース)を拾うためだ。一見、どうでもいいような話でも、後から振り返ったときに、重要な兆候だったというケースもある。ジグソーパズルのピースが当てはまるように。

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 歴史を都合よく修正・改竄する人々がいる。そして悪事が失敗しても、ほとぼりが冷めるのを待ち、世の中が忘れたころに再び動き出す。それに対抗するためには、記録し、蒸し返し、同じ批判を繰り返さなければならない。

    *

 先日、SNSで拡散されている動画で「NHKから国民を守る党」の立花孝志がこう言っていた。

《バカな人たちをどうやって上手く利用するか。それはホリエモンがそういうことを言っている。最近、俺もそうやなと思ってね。だから、まあイヌとかネコと一緒なんよ》

 三島由紀夫は《日本人は豚になる》と言ったが、イヌになったのかもしれない。

この30年にわたり、マーケティングとプロパガンダの手法により、訓育、調教されてきた結果が現在だ。われわれは現在、その報いを受けている。

 

文:適菜収

 

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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